南伊豆の住み心地どうですか? 「東京都杉並区から南伊豆へ」
皆さまこんにちは。note運用担当、企画課地方創生室の佐藤です。
先日町の自己紹介記事を作った後、「次はどういう記事を作ろう、さっそくネタがなくなってしまった・・」と頭を抱えていたのですが、よくよく考えると私自身が南伊豆町に来て間もなく1年になる広義の移住者であることに気が付きました。
南伊豆町に1年間住んでみて、移住者の一人として何か伝えられることがあるのではないかと思い、今キーボードを叩いています。灯台下暗しとはこのことですね。
はじめに
申し遅れましたが、わたしは今年度から南伊豆町の交流自治体である東京都杉並区から人事交流で派遣されている身です。(※1)
去年の今頃までは杉並区の高円寺という場所に住んでいました。東京は杉並区から静岡県南伊豆町へ引っ越して約1年。日常生活の様々な面で変化がありました。
今回の記事から2回に分けて首都圏から南伊豆町に引っ越した20代の移住者目線で南伊豆生活の気づきや感想を書き連ねていきます。移住を検討中の方々の参考になれば・・と思っております。
日常生活について教えて!
住まい
まずはじめに住環境について。
一般的に地方だと住居にかかる費用が安いと思われがちです。それは確かにそうかもしれませんが、南伊豆町の物件が都市部と比較して際立って安いかと言われればそうでもありません。プロパンガスのため光熱費がむしろ都市部より高くつくことも。
町内には貸しアパートが少なく、一棟貸しの場合も多いです。家賃の相場はおおよそ40,000~50,000円程度。
温泉の出ているエリアでは共同浴場つき物件もあり、移住者に人気です。私も共同浴場付きの物件に住んでいるのですが、冬は温泉に1日2回くらい入っています。体の芯から温まります。
仕事
わたしは転勤で町に来ている身なので、参考になるようなことを伝えることはできませんが、移住をする上で仕事というのは重要な要素だと思います。ここでは一般論として触れさせてください。
田舎暮らしといえば漁業、農業というイメージを持っている方も多いかと思いますが、昨今町民の多くはサラリーマンとして下田市や近隣市町に通勤しています。ただし、都市部なみの条件の職場は見つけにくいというのが現状です。
ハローワークでは、定期的にHP上で求人情報を公開していますので一度見てみることをおすすめします。観光地ということもあり、宿泊業やレストランなどのいわゆるサービス業の求人が多い印象。看護師などの資格があれば比較的早く職場が見つかる場合もあるようです。
買い物は大丈夫?
町内にはスーパー、ホームセンター、コンビニが点在しており、必要最低限のものは町内で揃います。ただ商店はどちらかといえば町内の中心部から東側(下田寄り)にかけて集中しているため、エリアによっては買い物が不便かもしれません。
まとまった買い物をしたいときや、映画を見たいと思ったときには天城越えをして県東部まで行く必要があります。とはいえ、今の時代足りないものはネットショッピングでも揃うので、普通に生活する上で買い物には困らないはずです。
ちなみに、わたしは昨年の話題作「鬼滅の刃」を最寄りの映画館まで往復4時間かけて見に行きました。ワクワクしながら行きの2時間、映画の余韻を残しながら帰りの2時間です。涙は途中で乾きました。
都内に住んでいた頃には仕事終わりに映画を見に行くことができたことを思えば、そうした不便は感じますがその程度なので個人的には許容範囲です。
物価自体も都内とさほど変わりがないように思います。燃料が少し高いねという話は聞きます。
飲食店など
南伊豆に住んでいるからと言って毎日の食卓に伊勢エビが出るようなことはないですが、都内と南伊豆を行き来している人は口を揃えて「魚がおいしい」とおっしゃいます。やはり海に近い分だけ新鮮なものが食べられるということなのでしょうか。
町内にも美味しいものが食べられるお店がありますが、飲食店の店舗数自体はそれほど多くないです。
飲食店や居酒屋が集中している下田エリアまでいけば外食の選択肢の幅はより広がります。牛丼チェーンが恋しくなったら下田に行ってください。
コロナ禍の最中ということもありますが、南伊豆に来てから自炊中心の食生活となり、食費が減りました。
車がないと生活できない
ちなみに南伊豆町は伊豆半島最南端の町。東京からだと電車と車で多めに見積もって3時間ほどかかります。
町内を走る電車はありませんし、正直言って交通の便は良くありません。最寄りの伊豆急下田駅から町の中心部までバスを使って20分ほどですが、都市部と比較すると本数が少ないので普段使いは難しいです。
このような交通事情なので、町内で移動をする際には車かオートバイが必須となります。運転免許は必ず取っておきましょう。
豊かな自然環境、だからこそ
伊豆半島は火山の影響を色濃く受けている土地です。海沿いにはごつごつとした岩々が並ぶ荒々しい風景が広がっています。
町内には海から山まで、ありのままの自然が残されています。釣り、サーフィン、シュノーケリング、キャンプ、ツーリング等アウトドアが趣味の方にとっては最高の環境です。
虫がいっぱい
南伊豆町の豊かな自然は動物や虫たちにとっても住みやすい環境です。暖かい季節には大小様々な虫たちが部屋を訪れます。網戸にクワガタムシが引っかかっていたり。
中には厄介者もいて、わたしは引っ越して早々ムカデに腕を噛みつかれてしまいました。「ようこそ南伊豆へ」というムカデなりのあいさつだったのかもしれませんが、噛まれると痛いです。
気温が暖かくなる前に殺虫剤や虫よけの準備は必須です。
野生動物もいます
町内には野生動物も姿を現します。代表的なものはイノシシ、シカ、サル。イノシシの子どもやシカは一見すると可愛らしく見えますが、その土地に住んでいる人にとっては庭や畑に入り込み、農作物を荒らす害獣です。地面が掘り返されてれていたらそれはイノシシの仕業です。
夜に町を歩いたり、運転しているとこうした野生動物に出くわすことがあります。基本的に憶病で向こうから人を襲うことはほとんどありませんが、ごくまれに交通事故の原因になることもあるようなので注意が必要です。
わたしも道端で一度に3匹のイノシシと遭遇したことがあります。体が大きく、目の前に現れると恐ろしいです。そんなイノシシですが、食べるとおいしかったりします。
南伊豆で生活する以上、こういった虫たちや野生動物ともうまく付き合わなくてはなりません。
意外と寒いかも?
南伊豆町は、比較的温暖な土地だと言われます。そのことは、東京都内と比較した町内の平均気温のデータからも明らかです。
ただ、風がかなり強いように感じます。時折ハンガーにかけた洗濯物が吹き飛んでしまうほどです。温度としてはそこまで低くなくても、体感気温として寒いと良く言われるのはそのためです。
どの程度なのか、実際に町を訪れて体感してみることをおすすめします。
おわりに
町を流れる青野川沿いでは、早咲きの河津桜が咲き始めてきました。
東京に住んでいた頃のわたしは「夏は暑い、冬は寒い」という程度の季節感覚しか持ち合わせていませんでしたが、自然豊かな南伊豆町に来てから季節の移り変わりに敏感になりました。まだまだ寒いですが、咲き誇る河津桜や菜の花は少しづつ春が近づいていることを知らせてくれます。
梅雨の時期にはカエルが鳴き、夏にはセミの声で目が覚め、暑さが和らぐにつれて虫の声が聞こえるようになる・・南伊豆町に住んでいると当たり前のことですが、都市部に長く住んでいた人にとっては新鮮に感じるかもしれません。
さて、今回は南伊豆町の主に生活環境面についての気づきや感想をお伝えしました。次回は南伊豆町に住んでいる「人」にスポットライトを当てて移住体験を書いていこうと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
本日の写真提供
町民の方にnoteを始めたという話をしたところ、夕暮れ時の海の写真と産卵を終えて海に帰るウミガメの写真をいただきました。どうもありがとうございます。
弓ヶ浜では去年3年ぶりにアカウミガメの産卵が確認されました。非常に貴重な写真です。
◆移住に関心を持っている方はこちら◆
静岡県南伊豆町・移住ポータルサイト https://minamiizuijyu.jp/index.html
(※1)南伊豆町と杉並区の交流は昭和49年に病虚弱児童を対象にした「南伊豆養護学園(南伊豆健康学園の前身)」が開設されたことに端を発します。現在も移動教室や漁村交流事業を通じて杉並区の小学生たちが南伊豆町を訪れます。