縁もゆかりもない土地の役場で働いています
こんにちは!南伊豆町商工観光課 杉浦です。
南伊豆町では、毎月1日に「広報みなみいず」毎月15日に「広報みなみいずお知らせ版」を出しているのですが、6月15日付の「広報みなみいずお知らせ版」に職員採用試験の情報が掲載されています。
私ももちろん、この試験を受けており、それにまつわる対策や試験当日の出来事は25年の人生の中でもインパクトの強いことの連続でした。
というのも、それまで私は静岡県とも南伊豆町とも縁のない人生を送っていたのです。
ではクイズです。
そんな私はなぜ南伊豆町の採用試験を受けようと思ったのでしょうか?
①南伊豆町に観光で訪れて魅力的だったから
②とにかく実家から飛び出したかったから
③恋人が伊豆地域に住んでいるから
…答えは本文の中でお伝えします。
1.音大生、挫折する!
当時、短大で吹奏楽を学んでいた私は自衛隊音楽隊を目指して毎日朝イチから夜に大学が閉まるまで練習室に籠って個人練習を積んでいました。
我ながら結構頑張ったつもりだったんですが、なかなか成果が出ずに悩んでいました。
そんな私に先生は「そろそろ進路を考えなければならない時期だけど、杉浦はどうするんだ。」と問いかけてきました。
私もしばらくは「自衛隊音楽隊になりたいです。」と答えていたのですが、この状態ではとても無理だという自覚はありました。
実家の両親からも一時は「研究生として短大に残って練習を続けたらいい。」ということを言われていたのですが、さすがに「普通に就活して。」という結論になりました。
辛い挫折の経験でしたが、今も賀茂地域の吹奏楽団に所属しているので練習の日々は無駄にはなっていません。
2.初のお祈り、からの気付き
そんな中で就活アプリを使ってとりあえず試験を受ける先を決めていました。
まずは地元である愛知県のとある組織の試験を受けましたが、一次試験でお祈りをいただきました。
その時にふと「私は本当に地元で働きたいのか?」と疑問を感じるようになりました。家庭に深刻な問題があるというわけではない(多分)ですが、地元から飛び出して私の知らない世界を見てみたい、殻を破りたいという気持ちは常にありました。
そこで、今までの人生をたっぷり時間をかけて振り返ることにしました。
・小学校の学芸会の演劇で「名女優」(笑)と呼ばれ、担任の先生に「吉本新喜劇に入ったら?」と言われたこと。
・総合学習の授業で挿絵を描いたら好評で「漫画家になったら?」と言われたこと。
しかし、吉本新喜劇の舞台に立つ自分も、漫画家になっている自分も全く想像できませんでした。
3.両親に内緒で…
そのとき、ふと高校生の頃に彼氏に呼ばれて両親には内緒で南伊豆町に訪れたことを思い出しました。(ようやく南伊豆町の話です。お待たせしました…。)
当時は謎の体力があったため最寄り駅である伊豆急下田駅から約15kmをママチャリで移動しました。自分でも恥ずかしくなるくらい青春ですね。
私は愛知県の人口約17万人の市に生まれ育ったのですが、そこが日本で一番田舎だと本気で思い込んでいたので、突然現れる長~い坂道や巨大な植物、スマホの”圏外”の表示といった南伊豆町の田舎っぷりには衝撃を受けました。
その中でも、南伊豆町のとある地域に到着したときに見た、夕日に照らされて赤く光る山々がとにかく綺麗で「日本にはこんなに綺麗なところがあるのか!」と、深く感動したな~と思い出しました。長く南伊豆町に住んでる方からしたら当たり前すぎて共感を得られないかもしれませんが、いまだに夕暮れ時の風景は大好きです。
南伊豆町で働いている自分は不思議と想像できて、悪くないかもしれないと思いました。
そこで南伊豆町の求人情報をアプリで調べ、南伊豆町役場の情報にたどり着きました。
高校生の頃はろくに勉強もしていなかったので、一次試験である筆記試験対策もかなり苦労したんですが、前日から緊張しすぎて一睡もできないまま試験を受けました。それよりも印象に残ったのは二次試験の面接です。
4.いざ、面接!
ハローワークで事前練習を何度も重ねた完璧な所作で席に着くと、当時の町長から最初の質問をいただきました。
「杉浦さんは住所は愛知県みたいだけど、何でウチの試験を受けようと思ったの!?」
「はい、彼氏がこちらの在住だからです。」
めちゃくちゃ爆笑されました。客観的に見てもやばい人だと思います(笑)
本命である南伊豆町役場の試験では、すべて正直に話そうと心に決めていたのです。緊張している状態で器用に嘘をつける自信もないし、知らない土地で受け入れてもらうためにはそういう誠意は大事だと感じたからです。
他にも当時の副町長と教育長もいらっしゃり、主に大学で勉強していることの話をして終わりました。思ったよりも、面接というより面談といった感じで緊張はしたものの嫌な感じではなかったと感じました。
普通のしゃべり方がモゴモゴしているため、集団討論や面接のときに頑張ってハキハキしゃべろうとした結果、異様に声が通ってしまい教育長から「声楽を専攻されているのですか?」と質問があったのもちょっと面白かったです。
絶対「歴史に残るバカ」として派手に”お祈り”されるか、「なんかよくわかんないけど面白いやつ」として受かるかどっちかだなと感じながら役場を後にしました。
…というわけでクイズの正解は①②③すべてです!!(ごめんなさい!)
5.役場の職員になってからのこと
その後無事に合格通知を受け取り、色々ありながらも南伊豆町5年生になりました。
そこで、縁もゆかりもない土地の公務員として働くにあたって強みを紹介させてください。
①地元の方たちが気付かない魅力に気付ける
私は今ふるさと納税を担当していますが、お礼の品である特産品や町の観光スポットなどの魅力を伝えられることは必須だと思います。
生まれたときから同じ地域に住んでいる方の中には、夕日に照らされた山が綺麗だということや海が綺麗なことに気づいてない方もたくさんいます。
特に、私は社会人になるまでは生魚が苦手だったのですが、地域の飲食店で食べたお刺身がすごく美味しくてあっさり苦手を克服したのは今でも印象的です。
まだ私は南伊豆町5年生なので、町内の観光スポットも観光客気分で楽しむことができて、その気持ちをそのまま仕事に反映できるのでお得です。
②名前を覚えてもらえる
私の地元では「杉浦」という苗字がすごく多くてクラスに2~3人は「杉浦さん」がいたのですが、南伊豆町にはほとんどいません。
南伊豆町では「鈴木さん」「渡辺(渡邉・渡邊)さん」「土屋さん」などが多いので、逆に私杉浦は外部の方にもすぐに名前を覚えていただけたと思います。
(顔面はかなり薄いので、きっと名前のおかげだと信じています。)
あえて言うならば一部の地域に「杉原さん」がとても多いのでよく間違えられます(笑)
もちろん、最初は知り合いがまったくいないし友達と会える機会も減るし、カルチャーショックを受けることも少なくないです。でもそんなことは大丈夫です!!それすらも捉え方次第で強みになります!!
また、南伊豆町にはいろんな特技を持った移住者の方もたくさんいて私が特別に浮いてしまうとかそういったことは(多分?今のところ?)ありません(笑)。
最後に就活生の皆さん、「良くも悪くも先輩っぽくない」が売りの私が役場で待ってます(笑)。
是非一緒に南伊豆町を盛り上げましょう!